E.ケーラー 15のやさしい練習曲 作品33-1の旋律による2重奏曲集

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    本日、新作を発表しました。いろいろと思うところがあって取りくんだ楽曲です。15曲それぞれに個性があっておもしろいです。曲集の「まえがき」に書こうと思って書きはじめてみたら、原稿用紙約10枚の文字数になってしまい、流石に楽譜集のまえがきにするには長すぎると思いまして、一部をカットして「まえがき」として掲載しています。「機会があればお話します」と、前振り的な事を書いていますが、この機会を逃すと永遠に書くことはないかと思い、楽譜集と合わせて以下書き連ねたいと思います。

    お時間の許す方はどうぞ読み進めてください。文末に参考音源と楽譜の情報を載せています。



    まえがきに代えて(ノーカット)


    本作は、「フルートデュオ名曲集25」、「続フルートデュオ名曲集25」、「モーツァルトの小さな翼」につづく第4作目のデュオ曲集です。この他にもディズニーやジブリ作品などいくつか発表していますが、それらの作品と本作品の大きな違いがあります。それは、これまでのものは、旋律と伴奏の多声部を2重奏用に必要な要素だけを残して削り取っていく、いわば引き算の様な編曲でした。しかし、今回の旋律はエチュードの単旋律です。このメロディーはどんな響きの中にあるのかを想像で補いながら編曲というかむしろ、もう1パートを作曲するという、足し算のような作業です。なぜ、この曲集をつくろうかと思い立ったかといえば、曲がりなりにも生徒を持つようになり、エチュードを進めていく上で、過去の自分と重ねて思うところがあったからです。

     フルートは言わずもがな単旋律楽器です。ひとりでひとつの音しが出すことが出来ません。

     私がフルートをはじめて間もない頃、通っていた音楽教室で初めて手にとった「アルテスフルート教本第一巻」。ご存知の方も多いと思いますが、この本は基本的な演奏方法と楽譜の読み方を丁寧に書いてある練習曲集です。画期的なことは、全ての課題が2重奏になっていたことです。ロングトーンから、音階練習に至るまで上のパートを生徒が、下のパートを先生が吹くようにつくられています。当時の私は、アンサンブルで進めるこの仕様を当然と思っていました。というのも比べる対象も無いのでわからなかった、というのが正しい表現だと思いますが、この、先生と一緒に吹くという中で、音の輝きや、ハーモニーの美しさ、アンサンブルの楽しさを知らず知らずのうちに感じていたのだと思います。「響きの中に自分がある」という言葉には出来ない「体験」が新鮮で心地よく、レッスンでは自分のパートの吹き方を先生から教わった後、一緒に演奏するのが楽しみで、長い時を重なり合う音と共に過ごしたいとの思いが演奏家を志した最初の同期だったように思います。

     しかし、このアルテス教則本が一通り修了した後、課題はより上達するための「エチュード」を練習することになります。一般的なカリキュラムで当然の進路ですが、以前にピアノを習っていたわけでもなく、和声感や音楽の基礎もない、音感音痴のフルートからはじめた私にとって「無伴奏」の「エチュード」は、まるでコンパスを持たず座標のない地図を片手に草原に投げたされたような感覚でした。アルテスの場合、ただガムシャラに音を追い、リズムを刻めば、はじめどんな音楽なのか理解出来なくとも、先生とのアンサンブルの中でで2ndパートの先生を頼りに「音楽に乗る」事ができましたが、無伴奏では、どうしようもありませんでした。きっと「和声感を大事にする話」や「フレーズ感の話」を丁寧にレッスンしていただいたと思います。その教えの通り、多分なんとなく、それなりにカタチになった演奏をしていたと思いますが、当時の私には、本当の意味でその響きを「想像」することが出来ていなかったように思います。以来マルセル・モイーズの上達のためのカリキュラムに則りガリボルディやアンデルセンなど、たくさんのエチュードを練習してきました。その中でどれだけの「音楽の響き」を想像出来ていたかと考えると、ほとんど無いように思います。もちろん技術的なことはこれらのエチュードから得てきたものなので、必要なことだったと思います。響きを楽しむのは、年に1度の発表会の時、ピアノと合わせを楽しみに、レッスンのエチュードはひたすら上達したい一心で技術習得の為の練習として割り切り、難しい譜面を吹けないと悔しいとの思いもあったので、それこそ「吹けるようになる」ことだけを目的にしていました。その甲斐あって技術の進歩は順調だったと思います。音大にに進学してからは、さらにその「技術」への執着は深まり、誰も吹けないような譜面を吹きたいと、さらなるテクニックの領域へ傾倒していきました。それが、「吹けるようになる」ことが最終目標であるならば何の問題もなく完璧な筈だったのですが。

     卒業後はレッスン生を募集するようになり、実際に生徒を育てる側に立つわけですが、一番重要なことに気がついてしまったのです。自分には楽曲を分析して音楽をつくりあげる力が無い。そのためレッスンでは、ただ技術的な欠点をひたすら修正させるだけのものになってしまいました。レッスン料をいただいている手前、「上手に吹けるようにしないといけない」との思いが強すぎたと思います。そんな忍耐と根性だけのレッスンが面白くなるわけはありません。

     生徒が私の元を去る最も多くの分岐点は、アルテスが修了して、エチュードへ移行していくタイミングだったように思います。多くの方は過去の私と同じように、頼るべくもない音の世界へ投げ出された様に感じて、音楽が急激につまらないものになったんだと思います。輪をかけて私の指導力不足というのが一番の問題でしたが、テクニックを習得するより音楽を楽しみたい方には、もうついて行けない、と思われたのは仕方のないことだったでしょう。

    「別に音大に行きたいわけではないので…」と、やめる間際に生徒さんに言われた言葉は今でも忘れられません。

     機械的な正確性も驚くほどのテクニックも持っているには越したことはないのですが、一番は作曲家の想いを楽器を通して「歌」にすること、そして、共感することです。

     音楽の3代要素は、メロディー(旋律)・リズム・ハーモニー(和声)です。作曲家はこれらの要素を熟知して作品を書いているはずです。この最重要項目を思い出した時、いざ、この「想い」を表現しようとおもっても、当時は吹き方がわかりませんでした。それもそのはず、私のこれまでの練習には、ハーモニーの要素が圧倒的に欠けていたからです。和声感の無い演奏にはフレーズ感がありません。フレーズ感の無い演奏では呼吸が出来ません。呼吸がが無いとリズムを刻めません。リズムが無いと和声が進行しません。このように、これらの3代要素は密接に関わりながら「想い」を「歌」へとかえてゆくのです。

     その事に薄々気づき始めたのは20代の後半、もがきながらもモノにしようと試行錯誤をはじめたのが30代の前半、そして2011年3月。震災。なにも表現できない自分がいました。それから7年、初心に戻って意識を改め、音楽の方向性とフルートと自分と向き合いながら、最近やっと「響きの中」にある旋律が聴こえてきたような気がしています。私の場合、幼児から教育を受けた「先天的」な感覚ではなく、その後、なんとなくわかるようになった(しかも最近)「後天的」な感覚なので、瞬時にすべての音を把握出来るわけではありませんが、なんとなくの感覚の中で、音を探りながら響きの方向性を見つけ出せるようになってきました。

     フルートを含む単旋律楽器の奏者は特に和声についての意識が希薄になりがちです。私と同じ様な壁にあたってしまった奏者も多くいると思います。

     2重奏を多く扱うようになり実感として、この「響きの中」で進めるレッスンは知らず知らずのうちに音楽を想像する力を養うという絶大な効果があることがわかってきました。レッスン生の老若男女に関わらず、その成長には目を見張るものがあります。

     それならば、問題の解決は早いほうが良いと考え、アルテスからスムーズに移行できるよう、先ずはケーラーの「15のやさしい練習曲」から着手しました。

     私のように技術への傾向と執着は音楽性の向上へ障害になってはいけません。しかし技術習得のためには多少なりとも忍耐も根性も必要になることは忘れないでください。重要なのはバランスです。どれか一つだけ飛躍的に向上しても、いびつな音楽が出来上がるだけで、それぞれの要素がトータルで向上してこそ、作曲家と奏者が共鳴し豊かな音楽を奏でることができるのです。

     このように今後も継続してアイディアを練りたいと思っています。一先ず第一弾をお届けいたします。

     今回の編曲と作曲の課程で、それぞれの曲の魅力を再発見することが出来ました。ケーラーの意図したところとは違うかもしれませんが、エチュードをただのメカニカルなトレーニングの練習曲にしないように、無伴奏の迷宮に迷わないように、アンサンブルの楽しさの中に学びがあるように、楽曲の理解の手助けになるように、活用いただけたら嬉しく思います。


    2018.5 齋藤 寛


    以上、ここまで。

    要約すれば

    「バランスが大事ですよ」

    という当たり前の話です。


     最後まで読んでいただいてありがとうございます。エチュードのことから大分はなれて、たいそうなことを書いてしまいました。駄文で申し訳ないです。


    というわけで、参考演奏をアップしています。これから練習を始める方にも、一度さらった方も、受け取り方は人それぞれだと思いますが、いろいろな意味で楽しんでもらえたら嬉しいです。



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    心をこめて演奏を
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    低音フルートに誘われて

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      4/10発売のTHE FLUTE vol.163(アルソ出版)に
      「Q&Aレッスン アルトフルートとバスフルートの吹き方と練習法」というタイトルで寄稿しました。
      日常的な練習法やアンサンブルの演奏で気をつけるべきこと、ちょっとしたコツなど書かせていただきました。
      興味のある方は是非手に取ってみてください。






      また、アルトフルートとバスフルートを含むフルート四重奏用に「モーツァルトの子守歌」を編曲しています。
      演奏のポイントを書き込んだスコア譜です。
      フルートアンサンブルの楽しみに、ちょっとしたコンサートピースにきっと役立つと思います。
      参考演奏もアップしました。



      お求めはこちら
      アルソ出版:https://www.alsoj.net/store/view/F163.html#.Ws4I7H_iLyM


      中々触れることのない、または、存在すら知られていない低音フルートがテーマ・・・
      と思っていたのですが、、、、

      意外や意外!

      本日届いた本を読んでみると、、結構みなさん持っていらっしゃる!
      これからどんどん熱くなって行く予感がします。
      実際吹いてみて楽しい楽器だし、響きも心地よく、フルートの魅力の幅を広げてくれるのでこの流れは自然なのでしょう。
      私も特殊管の普及に一役買えたらと思っていますよ。




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      バスフルートの音域はヴィオラとほぼ同じ位で
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      グラーフ先生

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        2/28仙台へ向かう。

        御年89歳のグラーフ先生。
        まだまだ現役。
        的確なレッスンと、素晴らしい演奏を聴かせていただきました。

        先生のお仕事終わりのお食事にお供して、
        フルートの事、音楽の事、先生の思い出話、これからの音楽家のあるべき姿など、
        様々な興味深いお話をお伺いして、とても有意義な時間でした。

        膝が最近ちょっと痛いと言いながらも、エレベーターの無い食事処の3階まで階段を登り、
        帰りはホテルまで、「このまま歩いたらベルリンまで着いちゃうな」とか冗談を言いながらガツガツと20分ほど歩き、
        まるで年齢を感じさせないその姿に、フルートの演奏だけでなく、人としても益々憧れを再確認した一日でした。



        昨年作成した「フルートデュオ名曲集25」を先生にお渡しして、

        ”Good Work ! (よく出来ている)
        これは、レッスンなどに使えるね。”

        と、お言葉を頂き、本来意図としていることを即座に理解してもらえたことで、
        自分がやろうとしていることの方向性が間違ってはいなかったと確信しました。

        次回お会いする時はもう少し成長した姿でお会いしたいと、毎度思うのですが、
        それを上回る先生の進化を毎度感じています。

        一向に追いつける気がしないグラーフ先生なのでした。



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        進化は止まらない
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        あけましておめでとうございます

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          今年もどうぞよろしくお願いいたします。
          たくさんのアイディアとたくさんのやりたいこと、やらないといけないことがあります。もう少し楽に生きたいと思っていますが、今年も無理そうです。(新年早々白旗)
          走れるうちに走らないと、後々きっと後悔しますからね!

          と、自分に言い聞かせて、がんばりたいと思います。


          1月3日目黒雅叙園にて、バスフルートを持っています。

          楽譜【続フルートデュオ名曲集25】発売しました。

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            2016年末、「フルートデュオ名曲集25」を発表して早1年と少しが経ちました。
            ダウンロード販売のため、いくつかのファイルトラブルや、慣れない方には直接お送りするなどして、多くのフルート愛好者の方、プロの方へ届けることが出来ました。練習やレッスン、演奏会等でご使用いただけているようで嬉しく思います。こちらも引き続きよろしくお願いいたします。

             今回は、前作の「フルートデュオ名曲集25」の続編として発表しました。
            いわゆるフルートの名曲だけでなく、あまりフルートでは演奏の機会のないオーケストラやピアノの「名曲」をアレンジしました。
            これらは、個人的に、このブログでも紹介していました「全調練習」(最近は更新が止まっています…)で部分的に他の楽器のニュアンスを取り入れるために旋律を抜き出して練習していたものを、フルートの作品として演奏できそうなものを2重奏にしたものです。
            歌や弦楽器、ピアノ、オーケストラなど、楽器は違えど楽曲はどれも魅力的なものばかりです。フルートでも、それぞれの魅力を最小限の編成で豊かな響きで聴かせられるように、との思いで編曲しました。

            この曲集もフルートを愛する、そして音楽を愛する多くの方にお届けできれば幸いです。

            【続 フルートデュオ名曲集 25】
             今回のレパートリーは、いわゆる「名曲集」にあるような楽曲だけでなく、あまりフルートでは演奏の機会のない「名曲」揃いです。それぞれの楽曲の魅力にふれ、オリジナルの演奏と聴き比べしつつ、表現・演奏方法を研究し、新しい可能性としてレパートリーの選択肢に加えていただけたら幸いです。
             基本的に上段のパートが主旋律、下段は伴奏パートとなっています。前作同様、上は生徒さん、下は先生が演奏しレッスン教材としてお役にたてればそれも良し、お仲間、お友達との演奏で状況に応じてパートを入替えてアンサンブルするも良し、様々なアイディアでそれぞれの楽曲を楽しんでいただきたいと思います。(まえがきより)

            収録曲は以下の通り。全曲視聴できます。

            1.メヌエット ボッケリーニ
            2.白鳥 サン=サーンス
            3.ジムノペディ 第1番 サティ
            4.間奏曲(「カヴァレリア・ルスティカーナ」より)マスカーニ
            5.アヴェ・マリア シューベルト
            6.私を泣かせてください ヘンデル
            7.主よ、人の望みの喜びよ J.S.バッハ
            8.G線上のアリア  J.S.バッハ
            9.メヌエット(管弦楽組曲 第2番より) J.S.バッハ
            10.ブーレ(管弦楽組曲 第2番より) J.S.バッハ
            11.ラルゴ(協奏曲第4番ヘ短調「冬」より) ヴィヴァルディ
            12.インドの歌 リムスキー=コルサコフ
            13.ゴリヴォーグのケークウォーク ドビュッシー
            14.私のお父さん プッチーニ
            15.セギディーリャ ビゼー
            16.葦笛の踊り チャイコフスキー
            17.乾杯の歌 ヴェルディ
            18.亡き王女のためのパヴァーヌ ラヴェル
            19.ノクターン ショパン
            20.小犬のワルツ ショパン
            21.アヴェ・ヴェルム・コルプス W.A.モーツァルト
            22.トルコ行進曲 W.A.モーツァルト
            23.タンブーラン ゴセック
            24.アダージョ(「パンの笛」より) ムーケ
            25.アンダンテ(交響曲第101番「時計」より) ハイドン



            全曲視聴再生リスト
            https://www.youtube.com/playlist?list=PLxOydtbVA6zeMp1Dl0d1RYaRKuUNoZT6P

            A4サイズ 全78頁
            iPad,タブレットでも使用が便利なPDF形式ファイル。

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            一緒に吹けばフルートはもっともっと楽しい
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